2021年02月28日

Wiley X SG-1 旧モデル考察

 Wiley XのSG-1。00年代前半の米軍でしばしば使用例を見かけるアイウェアです。

Wiley X SG-1 旧モデル考察

 写真は03年DESERT RESCUE XIのSEAL隊員ですが、首にゴーグル状態へ換装したSG-1を装備しています。他にも以前記事にした同年の第2歩兵師団でも使用されてましたね。

Wiley X SG-1 旧モデル考察

 特徴としてはレンズをクリア/スモーク(及びその他)へ交換可能である点、そしてテンプルとバンドを交換することでシューティンググラス/ゴーグルの両方に対応可能な点が挙げられます。

Wiley X SG-1 旧モデル考察

 それ以外にもレンズ周りにクッションがあったり、デフォルトでは鼻あてが付属してなかったりとかなりユニークなアイウェアです。

Wiley X SG-1 旧モデル考察


 レンズ裏のモコモコしてる部分がクッションです。凸凹してるので、一部の凸だけ切り取って通気性を良くしたりといったカスタムも可能です。


 テンプル側面には銀色のブランドロゴが取り付けられています。

Wiley X SG-1 旧モデル考察

 同社の旧型Saberとかだと側面ロゴが白いプリントなのですが、SG-1のような別パーツだと雰囲気がありますね。


 このSG-1は初期アフの写真でも使用例をちょくちょく見かけます。動画でも自分が度々触れている"Taliban Patrol"にそれらしい個体の使用例が登場します。35:42秒辺りですね。ゴーグルのバンドに社名らしき白文字ロゴ+艶ありボディでレンズ周りが飛び出てますしSG-1ぽいなと睨んでいます。

 (Taliban Patrolについては4039さんが非常に深く考察されています。(4039さん何度も申し訳ありません……))


 正確な発売年は不明ですが、当時の公式サイトだと01年4月を境に"新しい最先端のアイウェア"を謳い登場しているのと見るにここらへんではないかと思われます。これだと初期アフにも間に合いそうですね。日本においてはコンバットマガジン2001年10月号の広告ページにその姿があったため01年中には国内に入ってきていたようです。

 そんなSG-1ですが、以前触れたように艶有りボディと艶なしボディの2種類が存在しています。いつ頃切り替わったかについてですが、この前その件をツイッターで話しているとワイリーXの公式アカウントからリプライが飛んできました。

 なんと中の人が当時の開発に携わっており、06年に日本限定モデルとしてつや消しをリリースし08年に米軍採用品もつや消しにチェンジしたとのことでした。非常に貴重な情報です(本当にありがとうございました)。となると、08年以前の米軍装備に合わせるならやはり艶有りモデルの方が良さそうですね。

Wiley X SG-1 旧モデル考察

 (因みにですが、これがSG-1 ver Jです。日本向けにノーズパッドを備え、砕けやすかったフレームが改良され、色もつや消しになるなどかなりブラッシュアップされています。)



 それでは今回の本題に入っていきます。艶あり時代のSG-1についてです。

Wiley X SG-1 旧モデル考察

 左右共に艶あり時代の旧SG-1ですが、比較してみると微妙に外観が異なりました。左のモデルは耳あて部分が右よりも曲がっており、更には先セル先端が若干尖っています。

Wiley X SG-1 旧モデル考察

 テンプル部分だけを取り外しました。上が先程の画像での左の個体、下が右の個体のものです。並べるとかなり違いがあることが分かりますね。

 というわけで、今回はこの形状の異なる2つの個体について書いていこうと思います。以下、便宜上先セルが尖ってる方をカクカク個体、丸い方をラウンド個体とします。

 どちらが古いかは簡単でした。内側の印字にはっきり記載されています。

Wiley X SG-1 旧モデル考察

 上がカクカク個体、下がラウンド個体です。Pat pendとPat used。改良前後で特許取得してますね。特許番号で検索すると"USD467262S1"が出てきました。アメリカの意匠特許です。掲載されてる画像はSG-1そのもので、公開は02年12月でした。

 となるとカクカク個体は02年12月より前に生産されていたモデルであると考えられます。というより、特許申請時のSG-1のスケッチや02年当時の公式サイトの商品画像を見ると先セル端部は尖っているので、初期はカクカク個体だったようです。

 ただ、Ebayでラウンド個体であるにも関わらず特許申請中印字の個体を見かけたので、カクカクからラウンドへは特許取得前に改良されていたようです。

Wiley X SG-1 旧モデル考察

 また、テンプルについてはヒンジ付近の根本部分も微妙に構造が異なります。改良後の個体のほうが微妙に肉厚です。断面を見るとパーティングラインが異なるため、テンプルは根本部分から新規に作り直したようです。

 改良前後の個体を掛けてたり試着してみましたが、特に改良前の個体が使いにくいといった感触はありませんでした。むしろ、改良後の個体のほうがテンプルとバンドを交換する際の爪が非常に硬くスムーズな着脱が困難に感じます。改良前の個体は軽い力でテンプルが外れるので交換しやすいです。その点は改良前のほうが良いですね。

 何が良いのかといえば、これはSG-1の構造上の弱点に由来します。SG-1はテンプルの根本に爪を引っ掛けて固定する構造ですが、無理に引っ張ると容易に壊れます。余計な力が必要ではない改良前の個体のほうが交換時にハラハラせずに済んで精神的に優しいです。

Wiley X SG-1 旧モデル考察

 このSG-1はおでこに上げてたのを目の高さまでおろそうと引っ張ったら砕けた先代です。まあ、この弱点は現行品ではフレームの材質を変更することで改善されたそうです。


 もしも本体の不具合による改良でないとしたら、考えられる理由はANSI Z87.1の改定です。2003年になるとアメリカのJIS規格的立ち位置のANSI Z87.1(アイウェアの規格)がZ87.1-2003へ改正されました。

 そのZ87.1はレンズだけでなくフレームも検査の対象となります。そのため、新たな規格でテストを行う際にテンプルを新造したということなのかもしれません……。まあ、憶測の域を出ない話で真相は闇の中ですね。

Wiley X SG-1 旧モデル考察

 (余談ですが、改良により長くなったテンプルは折りたたむとレンズを直撃します。傷が付くので保管時は注意が必要だったりします。)

 他の違いといえば、改良前個体はレンズが無刻印でフレームにZ87.1の印字があるのに対し、改良後の個体はレンズにZ87+でフレームにZ87-2の印字があります。これはANSI 87.1-2003に合わせた変更だと思われます。この表記の変更がいつ頃からなのかは分かりませんが、2003年付近と思われるのでこのあたりの年代でこだわる場合は注意が必要かもしれません。

Wiley X SG-1 旧モデル考察

 まあ、基本的にわかりやすい違いはテンプルに集中しているので、バンドに変更してしまえば分かりませんが……。レンズの刻印も非常に小さいので遠くからではまず見えません。使用例もゴーグル状態が多いですし、ゴーグル状態で運用するのであれば、そこまで気にするポイントではないのかもしれませんね。


Wiley X SG-1 旧モデル考察

 ゴーグル仕様のSG-1を装備に合わせてみました。ツヤツヤしてたりロゴが派手だったりと民生品感のある小物があるとオールド感が出て良いのではないかなと思います。壊れやすいのでサバゲに使うかといえば悩みますが、コレクションとして活用していきたいところですね。

 今回はここらへんで終わります。

 





Posted by スプリング at 09:00│Comments(0)WileyX(PO)アイウェア小物考察
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