2023年03月12日
Coleman 252A 1956年製 その1 分解編
GIランタンことColemanの252Aを入手しました。
裏面の刻印から1956年製ということがわかります。
Coleman以外にもSMPやアームストロングなど様々なメーカーが製造していましたが、折角なのでColemanのものを購入しました。
さて、こちら"完全分解して全部品を清掃、整備、修繕を行い2時間の動作確認済みの美品"であるランタンをネットオークションで購入しました。
が、届いたランタンを見てみるとタンク内にサビ粉が大量に残存し、何十回ポンピングしてもあっという間に空気が抜けてしまうジャンク品でした。ついでにタンク内からガソリンの腐った異臭が漂います。これは堪りません。
どうみても動作確認済みではなさそうなので出品者に連絡したところ、整備して点火したのは2,3年前とのことでした。
おまけによく見ると錆びた状態の上からシルバーで塗装して誤魔化してあります。これも記載はありませんでしたが、これに関しては見抜けなかった自分が悪いですね。しかし美品とは一体……。
このままではどうしようもないのでレストアしていきます。そのために今回は前段階として分解します。
まずはベンチレーターの取り外しですが、これは通常のランタン同様にトップのボールナットを緩めると取り外し可能です。紛失防止なのかベンチレーターにナットが埋め込まれているのが特徴的です。
ベンチレーターを外せばグローブを抜き取ることが出来ます。GIランタンといえば4分割されたクワドラントグローブのイメージがありますが、初期の252Aは一体型のグローブが使用されていました。
本来ならUSのマークが入ったグローブなのですが、このランタンについているのは通常のColeman製グローブですね。年代も50年代ではないので後から装着されたものと思われます。
ジェネレーターは根本のジェネレーターロックナットを緩めた後に上方向に力を加えると引っこ抜けます。
GIランタンはジェネレーターをセルフクリーニングする機能がないため、人力でジェネレーターを外してクリーニングする必要があります。そのためなのかはわかりませんが、ジェネレーターは比較的簡単に取り外しが可能です。
このクネクネしたパーツがジェネレーターです。液体のガソリンを気化するための重要なパーツですが消耗品です。
と言っても100~200時間は使えるため寿命はそこそこあります。見た感じはまだ使えそうです。
ジェネレーターを外した後はジェネレーターの台座であるアダプター(ジェネレーターシート)下部にあるロックナットを緩めます。これはクローブケージを押さえつけて固定するためのナットです。
このナットを緩めることでグローブケージをフリーにすることができ、アダプターを取り外し可能になります。エアーサプライチューブとカラーもこのナットで固定されています。
後期型ではアダプター下部のウイングナットを緩めることでエアーサプライチューブとグローブケージを抜き取ることができるように改良されていますが、前期型は一体型なのでアダプターを外さないことにはこれらを取り外すことが出来ません。ちょっと不便です。
アダプターとその下部にあるバルブはどちらも反時計方向に回すことで分解できますが、非常に強固にねじ込まれているためモンキーと素手で分解するのは困難です。
ということでバイスを用意しました。ナベヤのホビーバイスです。これでアダプターやバルブを固定し、タンクを両手でつかんで体重を掛けて回すことで強固なネジを取り外します。
門型のエアーサプライチューブにバイスを噛ませ、レンチ代わりにしてアダプターを分解しましたが、下部が歪んで歪取りする羽目になったのでやめたほうが良いと思います。
モンキーなどでアダプターを固定し、モンキーのグリップをバイスに噛ませ、タンクを両手で保持して全体重を掛けながら回すのが良いのではないかと思います。
アダプターを外すとグローブケージも抜き取ることが出来ます。
どちらも上から再塗装されていますが、クローブケージはサビの上から塗装されていてザラザラですね……。完全に分解して整備したのにサビは取らなかったのでしょうか……。
続けてバルブステムを取り外します。ナットを緩めてフリーにした後にノブを緩める方向に回し続け、ネジから外れた後に引っ張るとバルブステムを抜き取ることが可能です。
この部分はグラファイトパッキンという黒色のパッキンが入っていますが、これを触ると手が黒くなるので注意です。見た感じまだ使えそうですが、折角なので新品のパッキンと交換します。
ノブを固定するネジもサビが酷かったので取り外しました。ここのサビ取りも行います。
バルブステムを取り外すか、ホイールを取り外せばカラーが抜き取り可能です。
ただ、カラーを外す前にカラーとフューエルキャップがチェーンで繋がれているため、先にそちらも分解します。
蓋をきつく締めた状態だと上部のネジを回して取り外すことが出来ます。
このように二重構造になっているため、蓋を締めていないとフューエルキャップは分解できないので注意が必要です。
ポンピングしても圧力を保てない原因として考えられるのがフューエルキャップのガスケットの劣化です。ここも交換予定です。
話がそれました。とりあえずカラーが完全フリーになったのでカラーを取り外します。
切れ込みがあるタイプのカラーであればバルブステムを分解せずに取り外し可能ですが、252Aは切れ込みがないのでこうしないと取り外せません。
続いてタンクとバルブを分離します。この部分は硬いねじ込みに加えて強力な接着剤で二重に固縛されています。バイスで固定する前に接着剤をバーナーで焦がして除去することをおすすめします。
接着剤を除去した後はバイスで挟んで固定し、両手でタンクを回してネジを緩めていきます。作業用のゴム手袋があると便利です。
アダプターの1.5倍ぐらい硬いため、全身で体重を掛ける必要がありますが、その際に斜め方向に力を加えてしまうとタンクのネジ穴あたりが曲がってしまいます。ネジに対し平行になるように気をつけながら成人男性が全体重で捻るとようやくバルブが緩みました。
予想通りではありますが、バルブ下部のフューエルチューブにガソリンの残骸がへばり付いています。内部も固着しているようです。ここも分解してキレイにする必要があります。
ポンプとステムも抜き取りました。リュブリカントが70年掛けて熟成されたのか、茶色でネチャネチャしています。これもクリーニングが必要ですね。カップはどうしようもないので交換します。
タンクです。口まで錆びています。バルブを抜いたことで上からライトで照らしつつ内部を確認できましたが、案の定内部は鉄の地肌が1に対しサビ99ぐらいで見事にサビサビです。あと腐ったガソリンの臭いがエグいです。
よく見るとスペアパーツを入れるスペースまで錆びています。
ここも放っておいてサビが進行して底が抜けると大変なので錆取りします。
タンクが見えるまで分解した結果、レストアに必要な工程が見えてきました。
1. タンクの完全な錆取り
2. ガスケット、グラファイトパッキン、ポンプカップの交換
3. フューエルチューブ、バルブ、ジェネレーターシートの清掃
4. フレームとエアーサプライチューブの塗装落とし
5. 各部のそこそこの錆取り
1については必須ですね。錆の粉が大量に出てくるほど劣化しているタンクをそのままというのは厳しいです。2は気密の確保、3はガソリンと空気の経路を確保のためにそれぞれ行います。
4についてはよく分からない塗料が塗られているのが気に入らないので剥がします。5は塗装などを傷めない程度に錆取りを行う予定です。ここらへんは必須ではないですね。
次回の目標を決めたところで今回はここらへんで終わります。
裏面の刻印から1956年製ということがわかります。
Coleman以外にもSMPやアームストロングなど様々なメーカーが製造していましたが、折角なのでColemanのものを購入しました。
さて、こちら"完全分解して全部品を清掃、整備、修繕を行い2時間の動作確認済みの美品"であるランタンをネットオークションで購入しました。
が、届いたランタンを見てみるとタンク内にサビ粉が大量に残存し、何十回ポンピングしてもあっという間に空気が抜けてしまうジャンク品でした。ついでにタンク内からガソリンの腐った異臭が漂います。これは堪りません。
どうみても動作確認済みではなさそうなので出品者に連絡したところ、整備して点火したのは2,3年前とのことでした。
おまけによく見ると錆びた状態の上からシルバーで塗装して誤魔化してあります。これも記載はありませんでしたが、これに関しては見抜けなかった自分が悪いですね。しかし美品とは一体……。
このままではどうしようもないのでレストアしていきます。そのために今回は前段階として分解します。
まずはベンチレーターの取り外しですが、これは通常のランタン同様にトップのボールナットを緩めると取り外し可能です。紛失防止なのかベンチレーターにナットが埋め込まれているのが特徴的です。
ベンチレーターを外せばグローブを抜き取ることが出来ます。GIランタンといえば4分割されたクワドラントグローブのイメージがありますが、初期の252Aは一体型のグローブが使用されていました。
本来ならUSのマークが入ったグローブなのですが、このランタンについているのは通常のColeman製グローブですね。年代も50年代ではないので後から装着されたものと思われます。
ジェネレーターは根本のジェネレーターロックナットを緩めた後に上方向に力を加えると引っこ抜けます。
GIランタンはジェネレーターをセルフクリーニングする機能がないため、人力でジェネレーターを外してクリーニングする必要があります。そのためなのかはわかりませんが、ジェネレーターは比較的簡単に取り外しが可能です。
このクネクネしたパーツがジェネレーターです。液体のガソリンを気化するための重要なパーツですが消耗品です。
と言っても100~200時間は使えるため寿命はそこそこあります。見た感じはまだ使えそうです。
ジェネレーターを外した後はジェネレーターの台座であるアダプター(ジェネレーターシート)下部にあるロックナットを緩めます。これはクローブケージを押さえつけて固定するためのナットです。
このナットを緩めることでグローブケージをフリーにすることができ、アダプターを取り外し可能になります。エアーサプライチューブとカラーもこのナットで固定されています。
後期型ではアダプター下部のウイングナットを緩めることでエアーサプライチューブとグローブケージを抜き取ることができるように改良されていますが、前期型は一体型なのでアダプターを外さないことにはこれらを取り外すことが出来ません。ちょっと不便です。
アダプターとその下部にあるバルブはどちらも反時計方向に回すことで分解できますが、非常に強固にねじ込まれているためモンキーと素手で分解するのは困難です。
ということでバイスを用意しました。ナベヤのホビーバイスです。これでアダプターやバルブを固定し、タンクを両手でつかんで体重を掛けて回すことで強固なネジを取り外します。
門型のエアーサプライチューブにバイスを噛ませ、レンチ代わりにしてアダプターを分解しましたが、下部が歪んで歪取りする羽目になったのでやめたほうが良いと思います。
モンキーなどでアダプターを固定し、モンキーのグリップをバイスに噛ませ、タンクを両手で保持して全体重を掛けながら回すのが良いのではないかと思います。
アダプターを外すとグローブケージも抜き取ることが出来ます。
どちらも上から再塗装されていますが、クローブケージはサビの上から塗装されていてザラザラですね……。完全に分解して整備したのにサビは取らなかったのでしょうか……。
続けてバルブステムを取り外します。ナットを緩めてフリーにした後にノブを緩める方向に回し続け、ネジから外れた後に引っ張るとバルブステムを抜き取ることが可能です。
この部分はグラファイトパッキンという黒色のパッキンが入っていますが、これを触ると手が黒くなるので注意です。見た感じまだ使えそうですが、折角なので新品のパッキンと交換します。
ノブを固定するネジもサビが酷かったので取り外しました。ここのサビ取りも行います。
バルブステムを取り外すか、ホイールを取り外せばカラーが抜き取り可能です。
ただ、カラーを外す前にカラーとフューエルキャップがチェーンで繋がれているため、先にそちらも分解します。
蓋をきつく締めた状態だと上部のネジを回して取り外すことが出来ます。
このように二重構造になっているため、蓋を締めていないとフューエルキャップは分解できないので注意が必要です。
ポンピングしても圧力を保てない原因として考えられるのがフューエルキャップのガスケットの劣化です。ここも交換予定です。
話がそれました。とりあえずカラーが完全フリーになったのでカラーを取り外します。
切れ込みがあるタイプのカラーであればバルブステムを分解せずに取り外し可能ですが、252Aは切れ込みがないのでこうしないと取り外せません。
続いてタンクとバルブを分離します。この部分は硬いねじ込みに加えて強力な接着剤で二重に固縛されています。バイスで固定する前に接着剤をバーナーで焦がして除去することをおすすめします。
接着剤を除去した後はバイスで挟んで固定し、両手でタンクを回してネジを緩めていきます。作業用のゴム手袋があると便利です。
アダプターの1.5倍ぐらい硬いため、全身で体重を掛ける必要がありますが、その際に斜め方向に力を加えてしまうとタンクのネジ穴あたりが曲がってしまいます。ネジに対し平行になるように気をつけながら成人男性が全体重で捻るとようやくバルブが緩みました。
予想通りではありますが、バルブ下部のフューエルチューブにガソリンの残骸がへばり付いています。内部も固着しているようです。ここも分解してキレイにする必要があります。
ポンプとステムも抜き取りました。リュブリカントが70年掛けて熟成されたのか、茶色でネチャネチャしています。これもクリーニングが必要ですね。カップはどうしようもないので交換します。
タンクです。口まで錆びています。バルブを抜いたことで上からライトで照らしつつ内部を確認できましたが、案の定内部は鉄の地肌が1に対しサビ99ぐらいで見事にサビサビです。あと腐ったガソリンの臭いがエグいです。
よく見るとスペアパーツを入れるスペースまで錆びています。
ここも放っておいてサビが進行して底が抜けると大変なので錆取りします。
タンクが見えるまで分解した結果、レストアに必要な工程が見えてきました。
1. タンクの完全な錆取り
2. ガスケット、グラファイトパッキン、ポンプカップの交換
3. フューエルチューブ、バルブ、ジェネレーターシートの清掃
4. フレームとエアーサプライチューブの塗装落とし
5. 各部のそこそこの錆取り
1については必須ですね。錆の粉が大量に出てくるほど劣化しているタンクをそのままというのは厳しいです。2は気密の確保、3はガソリンと空気の経路を確保のためにそれぞれ行います。
4についてはよく分からない塗料が塗られているのが気に入らないので剥がします。5は塗装などを傷めない程度に錆取りを行う予定です。ここらへんは必須ではないですね。
次回の目標を決めたところで今回はここらへんで終わります。
Posted by スプリング at 09:52│Comments(0)
│ガソリンランタン