2023年05月20日
Rogers Akron M-1950 Stove (1952) 4 分解/メンテナンス
前回に引き続き初期のM-1950ストーブについてです。

製造から70年経過している個体なので各部のパッキンが劣化している可能性が考えられます。また、そもそもポンプが固く動きません。固着してしまっているようです。
試しに点火する前に分解してクリーニングを行います。バーナーシールドやノブなど簡単に取り外せるものは予め取り外し、各部を分解していきます。

ポンプカップはバレル内で固着しており、プランジャーを引く抜く際に千切れました。ピンセットでなんとか取り出しましたが、ガチガチに劣化しており再利用はできそうにありません。手持ちのリプロ品に交換します。

バーナーアッセンブリーとプレヒーターカップアッセンブリーはモンキーレンチがあれば普通に分解できますが、幅が狭いモンキーレンチのほうが操作しやすいです。

プレヒーターカップを外したことでジェネレーターチューブ内のスクリーンを取り出すことができました。若干汚れて目詰りしていたのでクリーニングしました。
ジェネレーターチューブやニードルが出入りするチップも汚れていたので同時にクリーニングしています。

フューエル&エアーチューブの清掃やニードルのガスケットを交換を行うためにバルブの分解を行います。これまで分解されていないガチガチに固められている個体だとここの分解は非常に厄介です。
このバルブは非常に固く、WD-40のような浸透するオイルが無いと分解は難しいのではないかと思います。バーナーでバルブを炙ってシール材を除去し、冷ました後にWD-40を塗布して1時間ほど放置しました。

また、タンクは円形で力を入れにくいのでオイルフィルターレンチで固定しますが、その際に長いモンキーレンチで固定することで柄を延長します。テコの原理で柄が長いほどタンクに力を加えることができる気がします。

今回は前回に比べるとあっさり分解できました。WD-40を浸透させると開けやすくなるような気がします。

硬化していたニードルのガスケットを交換しました。また、同時にポンプやエアチェックポンプのガスケットも交換しています。
タンクを開放して内部を確認したところ錆が発生していたので、モノタロウのサビ取りクリーナーで錆を取ります。


10倍に薄めたサビ取りクリーナーを注ぎ、溢れてくるので適当なコルク栓で封をしました。
このクリーナーは温かい方が効果があるようなので、薄める際に熱湯を使ったり、定期的に温めたり、車のダッシュボードに置いて放置したりとできる限り冷まさず1日放置します。

タンクから真っ黒な液体が出てきました。錆というより劣化したガソリンの残骸とかなのでしょうか?
あまりに黒かったので再度クリーニングします。本来はサビ取りクリーナーは使い回せますが、流石に無理そうなので新しく液を入れ直して更に一日放置しました。

まだ黒っぽいですが、今度は若干透明感が出ています。

タンク内も綺麗になったようです。見える範囲に錆は無さそうです。

サビを分解したら穴が空いてしまったということも考えられるのでクリーニングを完了したバルブとジェネレーター、ポンプを組み付けて石鹸水を塗布しリークテストを行います。
バルブの根本、エキセントリックステムのナット、プレヒーターカップの根本からそれぞれ漏れがありました。バルブについてはシールテープを巻き直し、エキセントリックステムのナットは増し締めすることで解決できましたが、プレヒーターカップの根本からの漏れは増し締めしても解決できませんでした。


プレヒーターカップがバルブのネジと噛み合い、間に挟んだジェネレーターチューブを締め付けることで気密を取る構造ですが、よく見るとバルブ側に傷が入っておりそれが原因のようです。

研磨して確認を繰り返すと予想通り漏れは止まりました。

リークテスト後はよく乾燥させ、組み立てていきます。

ポンプアッセンブリーも差し込みました。少し磨いたので綺麗になっています。

というわけで組み立てが完了しました。写真は取り忘れましたが、プレヒートから点火までも問題なく行えました。修理完了ですね。
60年代以降のモデルもいいですが、50年代のシンプルなデカールにチェッカリング付きバーナーシールドの初期モデルもいいですね。キャンプなどで実際に使用してみたいところです。今回はここらへんで終わります。

製造から70年経過している個体なので各部のパッキンが劣化している可能性が考えられます。また、そもそもポンプが固く動きません。固着してしまっているようです。
試しに点火する前に分解してクリーニングを行います。バーナーシールドやノブなど簡単に取り外せるものは予め取り外し、各部を分解していきます。

ポンプカップはバレル内で固着しており、プランジャーを引く抜く際に千切れました。ピンセットでなんとか取り出しましたが、ガチガチに劣化しており再利用はできそうにありません。手持ちのリプロ品に交換します。

バーナーアッセンブリーとプレヒーターカップアッセンブリーはモンキーレンチがあれば普通に分解できますが、幅が狭いモンキーレンチのほうが操作しやすいです。

プレヒーターカップを外したことでジェネレーターチューブ内のスクリーンを取り出すことができました。若干汚れて目詰りしていたのでクリーニングしました。
ジェネレーターチューブやニードルが出入りするチップも汚れていたので同時にクリーニングしています。

フューエル&エアーチューブの清掃やニードルのガスケットを交換を行うためにバルブの分解を行います。これまで分解されていないガチガチに固められている個体だとここの分解は非常に厄介です。
このバルブは非常に固く、WD-40のような浸透するオイルが無いと分解は難しいのではないかと思います。バーナーでバルブを炙ってシール材を除去し、冷ました後にWD-40を塗布して1時間ほど放置しました。

また、タンクは円形で力を入れにくいのでオイルフィルターレンチで固定しますが、その際に長いモンキーレンチで固定することで柄を延長します。テコの原理で柄が長いほどタンクに力を加えることができる気がします。

今回は前回に比べるとあっさり分解できました。WD-40を浸透させると開けやすくなるような気がします。

硬化していたニードルのガスケットを交換しました。また、同時にポンプやエアチェックポンプのガスケットも交換しています。
タンクを開放して内部を確認したところ錆が発生していたので、モノタロウのサビ取りクリーナーで錆を取ります。


10倍に薄めたサビ取りクリーナーを注ぎ、溢れてくるので適当なコルク栓で封をしました。
このクリーナーは温かい方が効果があるようなので、薄める際に熱湯を使ったり、定期的に温めたり、車のダッシュボードに置いて放置したりとできる限り冷まさず1日放置します。

タンクから真っ黒な液体が出てきました。錆というより劣化したガソリンの残骸とかなのでしょうか?
あまりに黒かったので再度クリーニングします。本来はサビ取りクリーナーは使い回せますが、流石に無理そうなので新しく液を入れ直して更に一日放置しました。

まだ黒っぽいですが、今度は若干透明感が出ています。

タンク内も綺麗になったようです。見える範囲に錆は無さそうです。

サビを分解したら穴が空いてしまったということも考えられるのでクリーニングを完了したバルブとジェネレーター、ポンプを組み付けて石鹸水を塗布しリークテストを行います。
バルブの根本、エキセントリックステムのナット、プレヒーターカップの根本からそれぞれ漏れがありました。バルブについてはシールテープを巻き直し、エキセントリックステムのナットは増し締めすることで解決できましたが、プレヒーターカップの根本からの漏れは増し締めしても解決できませんでした。


プレヒーターカップがバルブのネジと噛み合い、間に挟んだジェネレーターチューブを締め付けることで気密を取る構造ですが、よく見るとバルブ側に傷が入っておりそれが原因のようです。

研磨して確認を繰り返すと予想通り漏れは止まりました。

リークテスト後はよく乾燥させ、組み立てていきます。

ポンプアッセンブリーも差し込みました。少し磨いたので綺麗になっています。

というわけで組み立てが完了しました。写真は取り忘れましたが、プレヒートから点火までも問題なく行えました。修理完了ですね。
60年代以降のモデルもいいですが、50年代のシンプルなデカールにチェッカリング付きバーナーシールドの初期モデルもいいですね。キャンプなどで実際に使用してみたいところです。今回はここらへんで終わります。
2023年05月14日
Rogers Akron M-1950 Stove (1952) 外観レビュー
RogersのM-1950を購入しました。デカールが1枚でバーナーシールドにマッチストライカーのチェッカリングが施されていた初期のモデルです。

側面には製造年と社名の刻印があります。1952年製のようです。

既にRogers社の1952年製M-1950は所有していますが、状態の良さに釣られて購入してしました。動作未確認のジャンク品で、バルブを固定する接着剤が赤色のままなので未分解のようです。また、各部の状態はわりかし良いので数回点火した程度の個体だと考えられます。
ただ、このストーブなんとガソリンが入ったままで届きました。ケースから取り出したらチャポチャポ音がするのでビックリしました。蓋が固着していたので開けられなかったようです。プライヤーで開けると劣化したガソリンが出てきました。
分解する場合はバーナーで炙ったりもするのでタンクにガソリンが残っていると非常に危険です。ガソリンを取り除いて乾燥させました。
それではまず各部を見ていきます。

説明書のデカールです。使い方が簡単に纏められています。

足は折りたたみ式で小さいながらも安定性はあります。今回の足は時代相応にサビていますね。

足に関しては前回の同年製M-1950ストーブのほうが状態がいいですね。

背面には専用のレンチが収まっています。一見はゴトクの根本に引っ掛けてあるだけに見えますが、板バネで外れないようになっています。

板バネを押してロックを解除した状態で小さい方のレンチを持ち上げると取り外し可能です。

サイズ感はこんな感じです。3/8-9/16インチのレンチです。


小さい方はエキセントリックステムパッキングナット、大きい方はプレヒーターカップのナットにそれぞれ対応しています。
エキセントリックステムパッキングナット内部にはバルブからの漏れを防止するグラファイトパッキン(正確にはパッキングエキセントリックステム)、プレヒーターカップはジェネレーターをそれぞれ固定しています。どちらも消耗品で予備パーツも同梱されているため、その交換に使用するレンチになります。

今回の個体には当時のケースも付属していました。

分かりにくいですが1952年、Rogersと刻印があります。

内部には当時のものと思われるダンボールが入っていました。防虫剤というかガソリンというか、とにかくひどい匂いです。
今回は1966年のRogers製M-1950ストーブ比較してみようと思います。

同じ製造会社のため、違いが分かりやすいと思います。

左が1952年、右が1966年です。
ノブの下には操作説明と注意書きのデカールが貼り付けられていますが、52年と66年でデザインが異なります。

52年のデカールはストーブの操作説明と「連続使用時は十分に換気すること」の注意書きが1枚に纏められたデザインですが、66年の方はケースをフードコンテナや調理器具として使う際はしっかり洗浄するようにという注意書きが加えられ、2枚に分割されています。
デザインとしては52年のほうがシンプルに纏まっている印象ですが、注意書きだけ目立つように変更された66年は実用的なのかもしれません。

バーナーシールドについては表面の光沢が異なります。これについては52年の方のメッキが劣化しているだけなのかもしれません。
また、52年はバーナーシールド側面にチェッカリングが刻まれています。

これは当時のマニュアル曰く"便利なマッチストライカー"らしいですが、現在市販されているマッチではうまく着火できませんでした。当時の官給マッチだと点火できたのでしょうか?
まあ、60年代以降はこのチェッカリングがなくなっているので当時でも使いにくかったのかもしれません。

タンク下部に取り付けられた足は52年より66年の方が大型化されており、長さが増しています。
他にも、バルブの形状も微妙に異なります。


過去の写真ですが、上が52年、下が66年です。バルブだけでなく、その下部にあるフューエル&エアチューブについても形状が異なることが分かりますね。
52年はチューブの根本の太いところ全体がナットみたいになっていますが、66年は一部だけスパナが引っ掛かるようにカットされた形状です。初期の形状だと問題があったのでしょうか?
以上が52年と66年の外観を比較した際の違いになります。ただ、M-1950ストーブはColemanやS.M.P、Fiestaといった複数メーカーで製造されていたため、製造年だけではなく製造会社による違いもありそうですね。

というわけで1952年製のM-1950ストーブでした。次回はこれを分解してメンテナンスしていこうと思います。
今回はここらへんで終わります。

側面には製造年と社名の刻印があります。1952年製のようです。

既にRogers社の1952年製M-1950は所有していますが、状態の良さに釣られて購入してしました。動作未確認のジャンク品で、バルブを固定する接着剤が赤色のままなので未分解のようです。また、各部の状態はわりかし良いので数回点火した程度の個体だと考えられます。
ただ、このストーブなんとガソリンが入ったままで届きました。ケースから取り出したらチャポチャポ音がするのでビックリしました。蓋が固着していたので開けられなかったようです。プライヤーで開けると劣化したガソリンが出てきました。
分解する場合はバーナーで炙ったりもするのでタンクにガソリンが残っていると非常に危険です。ガソリンを取り除いて乾燥させました。
それではまず各部を見ていきます。

説明書のデカールです。使い方が簡単に纏められています。

足は折りたたみ式で小さいながらも安定性はあります。今回の足は時代相応にサビていますね。

足に関しては前回の同年製M-1950ストーブのほうが状態がいいですね。

背面には専用のレンチが収まっています。一見はゴトクの根本に引っ掛けてあるだけに見えますが、板バネで外れないようになっています。

板バネを押してロックを解除した状態で小さい方のレンチを持ち上げると取り外し可能です。

サイズ感はこんな感じです。3/8-9/16インチのレンチです。


小さい方はエキセントリックステムパッキングナット、大きい方はプレヒーターカップのナットにそれぞれ対応しています。
エキセントリックステムパッキングナット内部にはバルブからの漏れを防止するグラファイトパッキン(正確にはパッキングエキセントリックステム)、プレヒーターカップはジェネレーターをそれぞれ固定しています。どちらも消耗品で予備パーツも同梱されているため、その交換に使用するレンチになります。

今回の個体には当時のケースも付属していました。

分かりにくいですが1952年、Rogersと刻印があります。

内部には当時のものと思われるダンボールが入っていました。防虫剤というかガソリンというか、とにかくひどい匂いです。
今回は1966年のRogers製M-1950ストーブ比較してみようと思います。

同じ製造会社のため、違いが分かりやすいと思います。

左が1952年、右が1966年です。
ノブの下には操作説明と注意書きのデカールが貼り付けられていますが、52年と66年でデザインが異なります。

52年のデカールはストーブの操作説明と「連続使用時は十分に換気すること」の注意書きが1枚に纏められたデザインですが、66年の方はケースをフードコンテナや調理器具として使う際はしっかり洗浄するようにという注意書きが加えられ、2枚に分割されています。
デザインとしては52年のほうがシンプルに纏まっている印象ですが、注意書きだけ目立つように変更された66年は実用的なのかもしれません。

バーナーシールドについては表面の光沢が異なります。これについては52年の方のメッキが劣化しているだけなのかもしれません。
また、52年はバーナーシールド側面にチェッカリングが刻まれています。

これは当時のマニュアル曰く"便利なマッチストライカー"らしいですが、現在市販されているマッチではうまく着火できませんでした。当時の官給マッチだと点火できたのでしょうか?
まあ、60年代以降はこのチェッカリングがなくなっているので当時でも使いにくかったのかもしれません。

タンク下部に取り付けられた足は52年より66年の方が大型化されており、長さが増しています。
他にも、バルブの形状も微妙に異なります。


過去の写真ですが、上が52年、下が66年です。バルブだけでなく、その下部にあるフューエル&エアチューブについても形状が異なることが分かりますね。
52年はチューブの根本の太いところ全体がナットみたいになっていますが、66年は一部だけスパナが引っ掛かるようにカットされた形状です。初期の形状だと問題があったのでしょうか?
以上が52年と66年の外観を比較した際の違いになります。ただ、M-1950ストーブはColemanやS.M.P、Fiestaといった複数メーカーで製造されていたため、製造年だけではなく製造会社による違いもありそうですね。

というわけで1952年製のM-1950ストーブでした。次回はこれを分解してメンテナンスしていこうと思います。
今回はここらへんで終わります。
Posted by スプリング at
10:53
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